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29人のクリスマス(5)29人の休戦日

5、29人の休戦日


グウェンは中へとブーツを踏み入れ、扉を閉めた。
ペタルの家には見事なツリーが飾られていて、テーブルごとに色の違った相関図が読み取れる。
そうして見渡している内に、ムニオンから温かいドリンクとなみなみにスープの入れられたボウルを渡されたグウェンは両手を塞がれていた。
それに加えて人形のような娘に可愛らしい木の実のブローチをあしらわれている。
「あ、ありがとう。」
いい席はないものかしらね。こぼれそうなスープを少しすすってから、落ち着くことのできそうな場所を求めて歩き出す。

一歩踏み出せばたくさんの談笑が耳に入ってくる。


「おいグレイブ、あのスカーフはどうした?赤ワイン回し飲みしてたらいきなり氷吐いた?」
「青ワイン飲ませたら治るか?」「やめておけロナ。」
「竜だと言っても酒が抜けたら凍えるんじゃないか?俺が行こう。」
「スカーファンガンドラの息吹が冷気に?くっくっ面白い。」

「早く早く!わたしのお家にこんな大きな穴があったら大変、凍えちゃう!」
「ライム師匠。急ぎましょう。そこのムニオン達に起きられるとまた騒がしくなる。」
「上着はどうしたサムエル。」
「さあね。どこかに行ってしまったようで。」
「ライラが随分暖かそうにしているが。」
「もういいでしょう!俺が寒いんですよ。早く屋根直してください。」
「生意気な弟子は孝行の仕方も生意気じゃな。」


「スカイ、ジュール、朗報だ。屋根が治る。」
「あのドラゴンも災難だったね。」
「本当ね。氷の屋根ができていく。綺麗。」
「魔術をこうして見ていると、美しいものだな」
「うーん、でもさあ、暖炉の近くじゃすぐ溶けるんじゃない?」
「もっともだな」
「ついでに言えば、あたしの方がうまく屋根治せたと思うね!」
「あなた大工もできるの?」
「まあね、基地を何回直したと思う?もーそりゃー大変だったさ!」
「ふふっ、なんで壊れたのかも興味津々」
「聞かせてくれ」


「美味い。」
「美味しい!」
「体が温まって幸せ。正直なところ、コシュカたちの飾り付けがきれいでびっくりしてるの。」
「あれはライラの魔「テキザイテキショだからね!ねえセレス、次の料理は?」
「キャサリンが作ってくれたお鍋よ。・・・いい香りがする。きっと美味しいわ。パイと同じくらい。」
「パイ?」
「ふふ。あとさっき、デザートを作りに来てくれた人も来たわ。」
「最高!」


「あなたのおかげでまともな料理をもう一品、口にできた。礼を言うわ。」
「いえ。・・・星型のパイよりは簡単ですから。」
「言うじゃない。あなたも酔った?」
「少し。ところで、私たちの厨房に山ほど果物を抱えた怪しい男、本来銃撃手の輩が入っていきましたが。」
「すぐ行くわ。彼は愛用の戦闘ナイフで果物を切り刻み始めるとしか思えないもの。」


「ようクラル、後で例の曲やろうぜ」
「“エースオアデス”か?それとも“ファッ◯ンアトラス”か?」
「どっちも出来るだろ、何からやる。」
「俺の気分は、“ファッ◯ンアトラス”だな。」


こうして一周、会場を歩いてみたところ、どこも思い思いの休戦日を過ごしているように思えた。

眺めているだけでも楽しいかもしれない。
グウェンがミニテーブルにスープを置き、彼女が椅子に座ろうと背もたれを軋ませたその時。
咳払いと共に目の前のスープが男の手によって隣のテーブルへ誘拐される。
「このホームパーティを僕と、より濃密なものにしないかい?おっと失礼、自己紹介が遅れ」
「よく包帯適当に巻いたまま女引っ掛けようとできるね、どんだけ階段転げ落ちたわけ?」
半身包帯男、ブラックフェザーは引かなかった。
「ふふっはっはっいやあ、実に鋭い、そんな君も魅力にあふ」「なーんでこいつが包帯巻いてるか。知りたいか?」
もう一人の胡散臭そうな、酒で出来上がっている異国風の男がグウェンに問う。
「耳を貸す必要はないレディ。あえて甘美な表現にして俺がいうならば、体は多少業火に焼かれたが・・・その炎も俺の心臓まで蝕むことは出来なかった。というところだ。」

「・・・燃えたっちゃ燃えたのね。」
「俺ぁ喧嘩に負けたんだがな、腹いせにこの酒をよ、そいつにぶっぱなしたらよ、これがよく燃えたもんだからよ。・・・んぷ、ぶあっはっはっは!」
「真っ向勝負をしろ貴様」
グウェンはここで、喧嘩と笑い上戸の酔っ払いに巻き込まれたような構図だと納得した。酒に火をつけたのかしら?細かいところに疑問符が浮かぶが、彼女もこういった酒場のノリは嫌いじゃなかった。
「あれは、よく燃えてたな。」
腰掛けた彼女の横で巨体のトカゲ、フィンが相槌を打った。
フィンはそのままブラックフェザーの横で、ほらよ相棒。と薬を出して手当を始める。ブラックフェザーは、明日になったらアトラス食らわせてやる、とグウェンに聞かれないよう小さく愚痴をこぼしながらすごすごと手当を受けている。
「あ、ねえ。呑んだくれのくせにいい銃持ってるじゃない」
「これか?こだわりはねえが気に入ってる。」
目線だけ銃に移した男は、この女とは美味い酒が飲めそうだと内心満悦した。
サイコロをもう片手の手のひらで転がしているのを見て、グウェンはトランプを取り出す。
「もしかして、賭け事はお好き?」
「勿論だ。」
待ってましたとばかりに酒飲みの男が腕まくりをする。
やーめとけやめとけ!リンゴに賭けたって一銭にもならねえよ兎の姉ちゃん!遠くでスープを飲み干したオゾが見かねて茶々を入れたが、リンゴは気にもとめず博打の前の高揚感に浸って酒を煽る。
包帯を巻き直していた途中のブラックフェザーは気に障っているのか意地でも止めに入る。
「イカサマには付き合ってられん。それにおい!女性と乾杯しない阿呆がいるか!」
「ブラックフェザー様はイカサマが怖いのか?へっ」たいしたことねえな。煽ることをやめずに、怠慢な動きでジョッキを目線まで上げるリンゴ。
「お嬢さん、名前は。」そんな中でフィンがジョッキを大きな手で掴んで聞いた。
「グウェンよ。」ジョッキを掲げて答える。

休戦日の夜に、乾杯。

夜の宴は始まったばかりだった。
また一つ杯が交される音が響く。
そしてその後の談笑は心地よく、この家の騒がしさに拍車をかけていった。





おしまい



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お読みいただきありがとうございました!
ブログ、ツイッターではペタラーとして潜伏しておりますカルディアアロと申します。
今回はGLのポチさん主催のクリスマス企画アドベントカレンダーということで、
たくさんの方が為になる記事、面白い記事を挙げてくださっています。
締め切りの1週間前まで、何を書くか決めていませんでしたが、
ペタルについて書くだろうというのは自分の中に見えていました。
そこから、ペタルがクリスマス会にいたらどう動くかな?
いや、ペタルは主催だけして進行はみんなに任せて楽しんでるんじゃないか?
(((29人みんなまきこんでしまえ!)))
というとこまで至り、
「もし戦いだらけのハルシオンフォルドの中に1日だけ休戦日があって、
複雑な相関図が緩んで、その中で優しい物語が沢山あればいいな」
と想像が膨らんで予想以上に長いお話になりました。
その分、夢を詰め込めたきがするので満足です。笑


企画してくださったぽちさん,kさん,おろぽんさん、
素敵な絵を描いてくださったしまむーさん、
そしてお読みいただいたすべての方に、
素敵な休戦、ちがいますね、素敵なクリスマスを!カルディでした!:)



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YURAーVG

Author:YURAーVG
VAINGLORYソロランクマッチの民
オータム7g→スプリング8s
→(GL加入によりこのアカウントを放置。
メインはサマー9s→オータム9sへ)
GL卒業後ブログ復活。
ちょくちょく物語を書くかもしれません。

ジャングル>ローム>レーン
ペタル狂。
目標:ソロで9g行くこと!
Twitter→https://twitter.com/000shig
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